俺はたいていここに来ると自転車を20分漕いで、10種類ひとかたまりになったマシーンを一通り20回づつ3セットやるのが慣わしだ。途中で15分間走も入れる。
運動を始める前に、体重を量る。66.2Kデジタルでかなり正確にはかれるので嬉しい。13年前のベスト体重が59.5Kだったから、約7K弱増えている。別に体重を減らすのが目的ではないが、1回のトレーニングで何g消費するのかをいつもチェックしておくのも慣わしだ。ちなみに以前は、1回のトレーニングで、500gから1k減が通常だった。
その日は13年ぶりと言うこともあり、軽目のメニューにしようと決めていた。
にもかかわらず、翌日は筋肉痛だった。しかし、身体をいじめたあとの筋肉痛は、イテテテと言いながらも心地よいものだった。なによりも体を動かすことの充実感と全身に酸素を送り込んだあとの爽快感が、筋肉痛よりも勝る。金曜日だったので多少の身体の不自由は問題なかった。
ところが、明けて土曜日の朝目が覚めて起きあがろうとすると、床から起きあがることが出来なかった。やばい、軽い筋肉痛どころか、起きあがろうにも、腹筋がぴくぴくと攣ってしまって起きあがれない。重症だ。やむなく一度うつ伏せ状態に、寝返りを打ち何とか腹に力を入れないように試みるも、今度は腕が動かない。我が腕は前方45度までは動くがそこから両手を広げようと思っても開くことが出来ない。なんつたること。
歳をとると、疲れが1日置いてくると言われているが、自分には無縁のことと思っていた。しかし、その日は土曜日であるからして、木曜日にトレーニングに通ったのだから、きっかり1日置いた勘定なのは明らかだ。うーむ、やっぱり俺もご多分に漏れず正真正銘の中年親爺に成り下がってしまったことが今明らかになった。つくづく哀しい。
銭湯の広い湯船につかりながら、嘆かわしくも動きの鈍くなった二の腕を入念にマッサージした。美人妻の二の腕は美しいが、前方45度しか開かない中年親爺の二の腕は、美しさとはほど遠いと思った。