それにしてもここで勝ったわけだから、残るは決勝戦のみ。ここまで来ただけでも充分、と親としては思ってしまうが、子供はやる気である。親の方もそれにつられて、よしここまで来たならやるだけやってみろとなる。相手は柏将棋教室の強豪だ。えんだい仲間の後押しもあり、ここは、実行委員長の相徳先生のメンツもあるし負けられない。にわかに代表の重責をいつしか背負って戦う棋士になった。
将棋を本格的に初めて、1年未満の経験で言うと相手よりは劣るかも知れない。しかし、今のカズには勢いがある。えんだい仲間の後押しもあるし、何より応援に駆けつけた妹たちの声援もある。昼飯に食ったショウガ焼き定食パワーもまだ少しは残っていることだろう。
間もなく決勝戦が始まる。相手は、柏将棋クラブの子でなかなか強そうである。しかし、今日のカズは、勢いがある。ここまでの成績6勝1敗、目下5連勝中である。相手も同じ成績だ。うーむ、カズのその細い両肩には、えんだい将棋教室の肩書きがある。相徳先生、萱間先生、既に敗退した多くの仲間とその家族の注目が集まる。と言うと大げさだが、シュウや桂太君セミロングのお母さんも注目しているに違いなかった。そう思うと俺も、にわかに嬉しい。アドバンテージがさらに加算され、明石家サンマ似親爺にますます差を付けられる。