相手は いつ仕掛けるか? タイミングを見計らっているのだろう それでも なかなか抜かしてこないのは おいらを値踏みしているとしか思えない うーん糞う と思いつつも もういっぱいいっぱいだ 下りになるまで 少しの間 ペースを落として 息を整えることにした すると それを知ってか知らずか ペースを落としたと同時に 並走となり 一瞬のうちに 抜かしていった 息も乱れていない
が こっちも 負けたとは思わない 下り坂にさえなれば 何とかなるかもしれない と云う気はあった 離されること 5.6m 美浜大橋の中間地点を過ぎると 下り坂だ 息の乱れも やや回復したので ややペースを上げる 今度は 親爺の後ろ2m以内にピタリとつけてやる 今度はこっちがスリップストリーミングだぜ
しばらくその状態で 息の乱れを もう少し落ち着かせる スリップストリーミングが こんなに優位であると 初めて気がついた 風の抵抗もなく それまでの疲れが 下り坂とも相まって どんどん回復して行く 逆に今度は こっちが相手にプレッシャーかける番だ しかし 相手の走りも元気がいい このまま どこまで行くのだろうか?
こっちは マリンマラソンの5kコースを一応の目安にしているので そこから先は さつきまで帰らねばならないから いつまでもこのペースのまま この親爺について 延々と勝負旅を続ける義理も体力もない 息が戻ったので ためらうことなく スリップストリーミングから並走後一気に加速 所謂 捲り差しだ 相手は一定のスピードを保っているので うまくかわすことができた
しかし 先頭に立つと 前方からの風が抵抗になり 腕と云わず腿と云わず 乳酸がたまり倦怠感に包まれる 敵は沙流もの 一定のスピードでひたひたと追って来るから このままでは追いつかれ追い越されるのは時間の問題と思われた 下り坂が終わるその先に 検見浜に出る入口があり そこを折れて サイクリングロードに入ると追手はこなかった
マリンの5kコース折り返し地点が今日の5kコースのスタートだったから ここが一つの区切りだった そこまでに抜かされなかったから 一応 由とする 追手が来ないのを再度確認すると ひと息ついてペースを落とす あのまま あの親爺と競い合っていたら とても続かなかったろう 手強い親爺だった
5kのラップを見ると27分 途中の立ち話によるロスタイム1分11秒を差し引くと25分49秒の超ハイペース ハーフ22kの途中ラップとしては おいらにとって 無謀な超ハイペースだったが 後半のデッドヒートを考えると もう少し 早い 感覚的には23分台 遅くとも24分台と思っていたが 22kの中間ラップとしては まずまずかぁ マリンの24分18秒は今は 昔 夢の夢だったかもしれないと思えてくる
さて ここからは また花見川を左手に見ながら ゴールまで8.5kをひた走ることになる 往路の元気は いまや消え失せ 腕やら 腿やら脹脛の疲労およびのどの渇きが わが身を覆っている 親爺との勝負が余計だった しかし 立食パーティーで会ったあの女とマリンで期せづして会いほんの少し会話を交わした中で割り込んできたのは まぎれもなくあの親爺であり そこに少からず敵対信号を感じたのだから 売られた喧嘩は買うしかなかった
とはいってもあのまま続いていたらどうなっていたかは 考えたくもない あの親爺は 海浜大通りをまっすぐ 東に向かっていた おそらくマリンのハーフコースに沿って 花の博物館から 青果市場の方に向かっていると思われる ご苦労なことだ