そこで、将棋教室に行きたいとなって今日に至っているわけだ。初めてえんだい将棋教室に行ったとき塾長である萱間先生に相手をしてもらった。平手で勝負し、ものの3分ぐらいで負けてしまった。それでも塾長先生は、
「上級でも通用するかも知れないけど、中級から始めなさい。初級じゃぁあれだしね。」とおっしゃった。俺も全くそのとおりだと思った。いきなり上級で勝てなくてつまらなくなるより、中級で腕を磨いて上を目指すというのが理想であると思った。
かくして、えんだい将棋教室に通うことが許された。次の土曜日が来るのがさぞかし待ち遠しかったことだろう。学校から帰ってくると、まず手を洗いうがいをすると、もうすぐに将棋盤と駒を並べる。この将棋盤と駒は、5年生の時、夏休みの工作に二人で作ったやつだ。さて、待ちに待った週末がやってきて、やんだい将棋部中級コースでデビューはいささかほろ苦いものだった。
まず、教室は始め詰め将棋から教わる。7手詰め、13手詰めと言った問題をみんなで研究する。午後の1時から最初の30分から1時間は、その詰め将棋の研究を繰り返す。残りの2時間午後4時まで生徒同士で対局を繰り返すのがえんだい将棋教室のやり方でもある。最初の対戦成績は、1勝5敗の惨憺たるものだった。これでは、初級から出直した方がいいのではないかと俺も真剣に思った。
「どうだった?」と最初に聞いたとき、半ばぼーっとした表情で
「うん、みんな強かった。ちっとも勝てなかったよ、でも面白かった俺も強くなりてぇ」
と息子
「そうか、じゃあ強くなれ」と俺
こてんぱんにやられたものの、なにくそと言う気持ちがあったようである。くじ挫けて俺もうやめると言いだしたらどうしようかと思ったが、まずは第1関門のかべはのりこえられそうだと思った。
帰りにおみやげとして、教科書や将棋新聞(週1回発行される)をもらい、喜んでそれを一生懸命に読んでいる。そうこうしているうちにだんだんと上達してきて勝てるようにもなってきて、今日に至っている。