あさがおに白があるのを初めて知った。白い花は、何かもの悲しい。遠い昔の記憶で、母の日のカーネーションは、赤と決まっているのに、白いカーネーションを持っている子がいた。母親のいない子なので、先生がそうしたらしい。何でそんなことをしたのだろう。
差別じゃあないんだろうけれど、そうすることによって、その子は母親がいないことがばれてしまい、回りの同情をかっていた。その子は回りとは違う境遇に、強く生きていたのに、同情されて涙もろくなっていた。そうすることで、思いやり、とか労りとかを先生は教えたかったのだろうか。子供心にも残酷な光景だった。その子は、日頃はちょっと勝ち気で、生意気な感じの女の子だったが、思いがけぬ涙に、当時、俺は胸が詰まった。