釜どができたら次に、鍋の中身を下拵えする。じゃが芋、人参、玉ねぎ、長ネギ、ぶなしめじ、えのき茸を切る。人参は、例によって、桜の形の警視庁型にした。この方が、断面積が多い分柔らかく煮える。
切った野采は、ボールに入れておき、鍋には豚肉を入れて火にかける。ここから、味付けは、相棒に任せて、おいらは、焚火をおこす係りにまわる。相棒の味付けは、なかなか上手で、仕込みは俺で味付けは、相棒にと言う図式だ。
火起こしも頂いた薪があるので、労せず準備OK。ついでに、スウェーデッシユ トーチの段取りである薪割りもOK。陽が傾きはじめる頃に、仕込んだ鍋を囲炉裏に掛けると辺りには、いい匂いが漂って来る。囲炉裏を囲んで乾杯。
先ずは一口、まろやかな味が口の中に広がり幸せな気分になる。具材は、豚汁だが、味はポトフにも似ている。キュービック寄せ鍋の素をベースに、シェフ秘伝の焼肉のたれを調合したのと、豚肉を炒め時に、オリーブ油を使っている。そう言った事により豚汁で有りながら洋風味になった。
中鍋一杯が、半分ほど進んだところで、今度は長ネギと鶏肉団子に、豆腐を投入した。するとどうだろう、キュービック白湯スープの素と相まって今度は和風味に変身するから不思議だ。鶏肉団子は、玉葱に塩と胡椒を交ぜて手でこねた。強いて不足を云うならば、片栗粉と生姜が有れば、なお良かった。まぁ、キャンプであるからして、多少の不便さは仕方のないところだが、忘備録には、チューブ入り生姜と記しておこう。
そろそろ、ご飯も欲しくなる時間、飯盒炊爨で飯を炊く。今宵のもう一方のメインディッシュは、相棒が用意してきた松茸ご飯の素。これを飯ごうの中に入れて飯を炊くと、松茸ご飯の出来上がり。何と言う贅沢な晩餐。炊き上がり直前には、辺りに松茸ご飯の香りが漂い、何とも晩秋の味覚と充実感で満たされている。
松茸ご飯で3杯飯を食い、豚汁を都合3汁食らうと、お腹も充実感で満たされる。食後は、月を見ながら、焚き火にあたり、いつものバーボンソーダをちびちびやるのが至福のひととき。ちょうど、天も我々を見放さず、スーパームーン3日前の満月に照らされている。足元からは焚き火の炎でほのかに照らされ、上からは、満月の月明かりで照らされる。ちょっと照れくさくなるほどの今宵は明るい。
仕事の話 仕事を終えた後の話などが、最近のもっぱらのテーマとなって話される。やっぱり女の話題も出る。田舎の町工場勤めのおいら都会のテレビ局に勤める相棒とは、おのずと見ている風景も違うが如く、見ている女も違う。やはり、都会は美女の人口密度が田舎とは圧倒的に違う。都会のテレビ局に勤めている相棒の女子アナウンサーの話を聴くと、田舎の町工場に勤める身には、都会の洗練された雰囲気に気をされるほどうらやましくも感じる。ふと、田舎のスーパーで出会った指がしなやかな美人妻を思い出して、ホッとした気分になる。
3杯目のバーボンソーダをちょっと濃いめに作り、オリオン座のリゲルを見上げて、杯を傾けながら酔いとともに夜も更けて行くのであった。