しばらく走り続けて、朝の5時に下田の駅前に到着した。印南君が働いているであろうとんかつ屋さんを見つけた。屋上にはちょうちんがぶら下がっている5階建ての立派な建物だった。しばらく眺めて待っていたが、印南君が出てくる気配はない。そうか、何日の朝とは言っておいたが、何時とは言っていないので、早朝だし起きているわけもなかった。眠いのもありただボー然としているだけだった。
「ちぇっ、朝着くっていったのによ-」と思いながらも、そこに居てもしょうがなかった。とにかく、海のほうに行って宿を探そうと言うことになった。重い腰をあげて、また村田君に車を出してもらった。何軒かの宿をあたっては見たが、どこも朝早くから、迷惑そうな対応だった。