ここのところ年をとったせいか朝早く目が覚める。ふと思い立って、被災地にボランティアに行こうと思う。まずは体力がないとだめだろうと思い最近めっきり力仕事をしていないから。まずは検見川浜まで、走り体力をつける。一部液状化で地割れがあったり、簡易トイレがひっくり返ったりしているし、通行止めもある。
近所でも海岸エリアは、違うのだなぁと思う。日頃は、ベイエリアに一種憧れもあるが、液状化と言う現実は、厳しい。さて、体力も付けたし、ボランティアってどうやるの?まずは銭のないおいらは東北地方まで行けない。ってことで、県内で一番の被害が大きかった旭市の状況をネットで検索。市の案内にボランティア募集とある。
ヘルメットとスコップにハンマーと革手袋、ラジオに昼飯は持ってきてくださいとの事。全部家に有った。ヘルメットは、防災用に組長時代の物を家に置いていた。他には、つなぎと少々の着替えで、少し荷物が膨らんだ。
スコップを持って電車に乗るのは気が引けたけど、しょうがない。6:20新検見川発、いざ出陣!
総武本線は各駅停車しか走っていない。旭ではなく飯岡の駅に着くと、みなスコップを持っている人ばかりで、少し安心。中にはギターを持っている人もいた。駅から集合場所までは3kほどある。約45分歩くかと思っていたが、たまたま同じボランティアの人が車に3人まで載せられると札を持って立っていたので、載せていってもらった。
その人は、茂原から来ていて、他の2人は都賀と四街道からと言う。ギターを持っている子は、スコップをギターケース(ソウフトタイプ)に入れてきたという。なるほど、それはいいアイデアだと思った。しかし、みんな俺よりもはるかに若い。たぶん20代。これは集合場所の飯岡福祉センター。ここで、登録をして、被災地に派遣される。
5人一組でグループを係りの人が、並んだ順に決める。一人リーダーに選ばれるが、おいらの組はおいらがリーダーに指名される。たぶん1番目年上だから。おいらの組は、地元の若者(男)と八日市場から来た先生2人(女)と勝浦から来た体格のいい子(女)だった。5人1グループをさらに3グループ合体して15人にして、飯岡海岸近くのお店に派遣されることになった。移動はたぶん地元の教習所の車に分乗した。被災者の気持ちを逆撫でしない様に、写真は撮影禁止。これは作業終了後、バスを待つ間に遠目に撮影した。
業は、お店の陳列物を全部外に出して、砂とガラが散乱した土間をきれいにして、棚を並べ直し、商品を丁寧に拭いて並べる。同じように裏の倉庫も中を1っ回全部出して、砂と泥を掃き出し、物品を全てきれいにするが、ほとんど海水と砂に埋まっているので、これはもう商品としてはどうかなと言う状態だけれど、お店の人のことを考えると捨てるわけにもいかず丁寧に拭く。
帳票類も全部砂だらけ、これは無ければきっと棚卸とか決算が大変だろうなと思いつつ、一方で、これさえなければ、棚卸も決算も適当でいいのだろうなぁなんて現実考えたりもした。それらも、ざっと水をかけて、乾かし砂を払う。一通り、いるものいらないものの区別(工場で言う2s)をしたところで、土木業のボランティアの人のダンプに廃材を捨てる。これが一番重労働。
海水と砂をすった、家の柱と思われる木材関係、ガラス、皿、机、灰皿、その他もろもろ生活に使うもの全般がいっしょくたになって津波に飲み込まれて廃材の山となしている。別のトラックの運転手さんが、邪魔だ邪魔だとばかりに荒っぽく、通り過ぎていく。一部気が立っている人もいる。無理もないっ、この状況じゃぁね。自分だったらただ茫然としているだけだろう。幸いおいらが行った店のご主人も、若奥さんもとても気のいい人で、お昼にはお浸香とかお茶とかお菓子をいただいた。本当はいただいちゃいけないのだけれど、手をつけづに余ってもゴミが増えるだけなので、遠慮しつつも全部いただいた。
15:30には作業終了。開始が9:00でお昼が30分程度だったから、賞味6時間労働。残業なし。適度でちょうどいい。本当は、突貫工事的にやると早いのだろうけど、それでは続かないとも思う。6時間は妥当と思えた。8時間だったら厳しかったろうな。工場の作業と比べると、決して効率は良くないけれど、廃材の積み込みとかでラインを作ったりとか、まぁそれなりにやったし、とりあえず店と倉庫はきれいにできた。なにより最初は邪魔なだけかとも思ったけど、最後は感謝されたからよかった。
海岸通りで帰りのバスを待っていると何と迎えに来たのはキャンピングカーだった。ウォホー!再び福祉センターに戻り報告して、うがい(イソジンのうがい薬が入っている)と手の消毒。最後にみんなそろってご苦労様をいって終わり。16:15だった。帰りは、旭駅まで送ってくれると先生が言って下すった。別グループの人は船橋から来ているので、新検見川まで送りますと言って来うださる。ではそのほうがいいですねと先生も言うので、お言葉に甘えて、新検見川まで送ってもらう。
これで、帰りの電車でスコップを気にしなくてもよくなり助かる。行きの車と言いボランテェア同志も、助けあい精神が強いと感じる。私はもっぱら助けられる方だったが・・・。心地よい疲労とともに、良い経験をさせてもらった。感謝。